今朝の読売新聞(社会面)の記事を読んで、心がほっこりしつつ…数年前のことを思い出しました。
記事には、先週大阪・梅田繁華街で起きた死傷者11名の暴走事故で、ケガ人の応急処置にあたる多くの通行人の方々の様子やインタビューが書いてありました。
理学療法士の専門学校に通う男子学生は、とっさに自分のマフラーを倒れている男性の傷口に当て応急処置し、救急車が来て、運ばれたのを確認してから自分の足が震えていることに気づいたという…
数年前のワタクシの話で恐縮ですが…風が強く、雨も降って肌寒くなっていた日曜日。
私は、一人車で買い物に行き「あー。風も雨も強くなってきたなー。」と思いながら、自宅に着く直前の曲がり角で、ハンドルを切ろうとしたとき。
おばあさんが倒れていて、そばで呆然として立っているおじいさんがいた。
その場の様子から、おそらく、風が強くて持っていた傘が飛び、その拍子におばあさんが倒れた…そんな直後だったように思う。
私が慌てて車を降りてかけよったところ、おばあさんは額から血を流していて、顔面蒼白になっていた。
「待っててください。助けを呼びます!」と言って、目と鼻の先だった自宅に走って帰り
「パパ!!救急車呼んでーーー!!!」と大声で叫んだ。
幸いにもすぐに救急車が到着し、救命救急士の方にバトンタッチをした時点で、よかったとほっと胸をなでおろした。 おばあさんの状態から、即、命にかかわるほどの危険性ではなかったこともあり、雨で濡れた服を着替えながらダンナ様と「よかったね。」と話して、私たちは日常の日曜日の生活に戻った。
それから、二週間ほどしたある日。
玄関のチャイムが鳴り、モニターカメラを見てみると、知らない老夫婦が映っていた。
「誰かしら?」と思いながら、玄関の扉を開けて出てみると、やはり、記憶にないが、上品な老夫婦が立っておられた。
「…先日の御礼に参りました。」と言い、深々と頭を下げられた。
「あ!!」
そう。先日の雨風の強い中、倒れられたおばあさんとおじいさんが、わざわざご挨拶に来られたのだ。 おばあさんの額の傷もあまり目立たない程度になっていて、顔色もよく元気そうでいらした。
「…実は。あの後、消防署に出向き、どうしても、どうしても、一言、御礼が言いたいと名前と住所を教えてくれと言って聞いて来ました。」と言う。
今では、個人情報の管理が厳しく、そうやすやすと教えられる時代ではなくなっている。
「…教えていただくまでは、頑としてここを離れるわけにはいかない!! と言ってようやく教えてもらいました。」とおっしゃったのだ。
お見受けしたところ、70代後半ぐらいの上品なおじいさん。 きっと、彼の、その気迫せまる熱意に、間違いなく彼より若い消防署の職員・署長さんがこっそりと教えてくれたのだと思う。
「…本当にあの時はありがとうございました。一瞬だったのでどうしたらいいのかわからず、お名前を聞かないままで失礼いたしました。」とおっしゃり、菓子折りを渡された。
扉を閉めた後、私は、元気になられてよかったと思うのと同時に、その老夫婦の方の熱意というか、誠意というか…そのお気持ちにあまりに感動してしまって、心がほっこりとなり、目頭が熱くなってしまいました。
凄惨な事件も多いけれど、人間やっぱりまだまだ捨てたもんじゃない。
…と、今朝の新聞記事を見ながら、日本の若者の未来もまだまだ明るい!と思えたのに、その記事の隣には、またまたまたまた、生後まもない乳児を衰弱死させた両親逮捕の記事があった。
これが、悲しいかな、現在の日本の現状なのである。
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